私の「七言絶句の構成法」  

          観水 田沼裕樹


 
 昨年、佐賀県多久市・多久聖廟で開催されました「第二十六回全国ふるさと漢詩コンテスト」にて最優秀賞を受賞、有難くも現地に記念の詩碑を設けていただきました。

 さて、「絶句は結句から作れ」と言われますし、実際、起句から書き出すと後で詰まることが多いと感じています。ただ、そう簡単には秀逸な結句が出てこないのが我ら凡人というもの。後で困るか、先に困るか、どちらにしても、趣味で作っている分には半年でも一年でも時間をかけて問題ないし、それだけ長く作詩を楽しめるという見方もあるように思います。
 
ちなみに、今回の作品は実は承句からスタート。下五字は杜甫から拝借。そこに課題の「宿」の要素を盛り込み、ウグイスの歌声に誘われて主人も建物外に出ているだろう、すると来客を迎えるのは何だろうか?と転句で問いを立てた上で、韻字を見ながらあれこれと案を考えた末の結句でした。

 (明示的ではなくても)転句を設問として、どう結句で落とすか考えていく――という大喜利的な手法で、結句を後付けしたかたちになります。

 一方、唐突な結論になってもいけませんので、推敲の段階で起句にヒント的な要素を配置するのも工夫。ここでは、脱俗のイメージを持つ「白雲」の語を用い、詩全体で雰囲気にまとまりを持たせたつもりです。

 一概に言えるものではないでしょうが、転句での変化を意識しつつも、起句と結句とが相照らし合うよう常に留意しておくのが良いと思っています。