新春吟詠「新春を寿ぐ」 

                          Eテレ 令和四年1月2日(日) 朝7時~7時15分

1、和歌・朝日かげ    佐久良東雄

朝日かげとよさかのぼる日の本の
    やまとの国の春のあけぼの


朝日が輝きながらのぼる日の本大和の国の
春のあけぼの美しさよ

2、七言絶句「宝船」    藤野君山

壽海波平紅旭鮮  寿海波平かにして紅旭鮮かなり
遙看寶字錦帆懸  遥かに看る宝字錦帆の懸るを
同乘七福皆含笑  同乗の七福皆笑いを含む
知是金銀珠玉船  知る是れ金銀珠玉の船

 寿の海は波もなく穏やかで、朝日が真赤に照り輝いて鮮やか。その光のもと「宝」の文字を書いた錦の帆が高く懸っている。よく見れば、船には七福神が乗って満面の笑みを浮かべている。これこそが金銀珠玉を山と積んだ宝船である。

 3、七言律詩「梅花」   高 啓

瓊姿只合在瑤臺  瓊姿只合に瑤台に在るべきに
誰向江南處處栽  誰か江南に向って処々に栽えたる
雪滿山中高士臥  雪満ちて山中高士臥し
月明林下美人來  月明かにして林下美人来る
寒依疎影蕭蕭竹  寒は依る 疎影蕭々の竹
春掩殘香漠漠苔  春は掩う 残香漠々の苔
何郎自去無好詠  何郎去ってより好詠無し
東風愁寂幾回開  東風愁寂 幾回か開く


 
玉のような清らかに美しい梅の姿は、仙人の棲む瑤台にあるべきなのに、だれが人間の住む江南の地のあちこちに植えたのだろう。雪が降り積もれば、山中に高士が寝ているように気高く、月光と照り映えれば、林下に美人が立っているようななまめかしさ。梅のまばらな影が、ものさびしい竹によりそっているのは、いかにも寒そうであり、散り残った花が、一面に生えている苔にとどまっているのは、春がそこにおおわれているようである。梅を愛した梁の何遜がいなくなってから、すぐれた梅の詩は作られず、春風の吹くころに、寂しそうに、毎年花を咲かせている。

 4、七言絶句「富士山」   石川丈山

仙客來遊雲外巓  仙客来たり遊ぶ 雲外の巓
神龍棲老洞中淵  神龍棲み老ゆ 洞中の淵
雪如紈素煙如柄  雪は紈素の如く 煙は柄の如し
白扇倒懸東海天  白扇倒しまに懸る 東海の天


 
仙人が来て遊んだ頂は雲の上に高く聳えている。洞窟の中の淵には、神龍が年久しく棲みついている。冬に富士山を下界から望むと、山頂から山裾まで純白の雪におおわれ、立ち上る噴煙は柄のようである。その姿は、白扇を東海の空にさかさまに懸けたようだ。