谷津バラ園散策
鷲野正明 |
 |
平成二十九年五月二十五日(木)、数日来の夏日が収まり朝の雨で軽塵が洗い流された谷津バラ園を会員十九名と散策した。曇りの日差しがバラの花を柔らかく包み、水滴の残るバラはいっそう薫り高く、生きいきと我々を迎えてくれた。
午前十一時、京成谷津駅に集合し、徒歩でバラ園へ。入園料は高校生以上は三七〇円、六十五歳以上はその半額の一八〇円。各自で証明書を提示して入場券を買い、園内へ。年齢証明の必要のない者は四名。再度の集合は入り口前、十二時四十五分。それまで自由にバラを鑑賞、または園を出て谷津干潟を散策する。
旧谷津バラ園は、昭和三二年五月二七日谷津遊園の一施設として秩父宮妃殿下をお迎えして開園した。その後、京葉道路の開通にともない、昭和四〇年現在の地に移った。昭和五七年一二月谷津遊園の閉園にともないバラ園も閉鎖されたが、住宅都市整備公団の団地建設にともない、昭和六三年五月、ふたたび装い新たに誕生した。敷地面積は12600㎡、世界各国のバラ800種類、7500株が「区画」ごとに色香を競っていた。
谷津干潟は、1960年代から70年代にかけて干潟が次々と埋め立てられるなかで、旧大蔵省の所有であったために埋め立てを免れた干潟である。ほぼ長方形形で、四方は宅地が取り巻き、干潟の上には高架橋が建てられている。埋め立ての計画が持ち上がったこともあったが、東京湾に飛来するシギ類、チドリ類、カモ類などの渡り鳥の希少な生息地として、1988年に国指定谷津鳥獣保護区(集団渡来地)に指定された。面積は41ha、うち特別保護地区は40haという。1993年6月10日には、ラムサール条約登録地に登録された。
昼食は谷津商店街の「ほうらい」。柏梁体連句を楽しみ、午後二時半ころ解散した。それにしても、「ほうらい」は木曜が定休日だったようであるが、幹事の清水蕗山氏のはからいで参加人数ぴったりの広さの部屋が予約されていた。驚きである。多謝!
谷津干潟へは行かず、時間いっぱいバラ園を散策した。が、全部見切れなかった。 |
|
|
薔薇園 一 薔薇園
滿苑花花誇麗粧 満苑 花々 麗粧を誇る
粉紅淡紫白緋黄 粉紅 淡紫 白緋黄
雨餘含涙襲衣立 雨余 涙を含み衣を襲ねて立ち
風到搖搖自在香 風到れば搖々 自在に香る |
 |
二
王妃名字命花多 王妃の名字 花に命すること多し
誰是行歸摩納哥 誰か是れ行きて摩納哥(モナコ)に帰(とつ)ぐ
純白凱莉逾楚楚 純白の凱莉 逾いよ楚々
陽光照處夏風和 陽光照らす処 夏風和らかなり |
|
三
名是卡門香愈純 名は是れ卡門(カルメン)香り愈いよ純なり
深紅忽惑愛花人 深紅忽ち惑はす 花を愛する人を
勸君敢近漫無觸 君に勧む 敢へて近づき漫りに触るる無かれ
棘刺當傷心與身 棘刺当に傷つくべし 心と身とを |
 |
四
池畔黄紅朶朶花 池畔黄紅朶々の花
綠蒲翠柳弄風斜 緑蒲翠柳 風を弄して斜めなり
鯉魚吐沫仰天嘆 鯉魚は沫を吐き天を仰いで嘆き
蜂蝶隨香入蕊誇 蜂蝶は香に随い蕊に入りて誇る |
 |
|
|