漢詩大会入賞作品

千葉県漢詩連盟会員の入賞の方の漢詩を掲載いたします。

おめでとうございます 
 

   

令和五年第二十六回 
全国ふるさと漢詩コンテスト(多久市)
 


最優秀賞


観水 田沼裕樹 

私の漢詩の作り方

 
 山中逆旅       山中逆旅(げきりょ)
乘春偶到白雲村  春に乗じて偶たま到る 白雲の村
滿耳鶯歌暖正繁  耳に満つ鶯歌 暖かにして正に繁し
山館主人呼不答  山館の主人 呼べども答えず
一風吹却代開門  一風吹却して 代わって門を開く



令和五年度「扶桑風韻」

 

優秀賞

稲田 啓
 

  
 雲            雲
孤雲出岫只隨風  孤雲 岫を出て 只風に随ふ
冉冉影飛斜照中  冉冉として影は飛ぶ 斜照の中
明日不知何處往  明日知らず何れの処に往くかを
無根無蔕又西東  根無く蔕無く 又西東す

 

優秀賞

観水 田沼裕樹
 

 
 成田山道中     成田山道中
欲遊香界坐飛車  香界に遊ばんと欲して飛車に坐す
始看門前景物嘉  始めて看る 門前 景物の嘉きを
縹渺白雲何處起  縹渺たる白雲 何処よりか起こる
口饞知是炙鰻家  口饞知る是れ鰻を炙くの家なるを  


石川百万石国民文化祭 2023 

全国漢詩の祭典
 

 
文部科学大臣賞  

観水 田沼裕樹


 
 春日訪佳人     春日 佳人を訪う
春風十里路橫斜  春風 十里 路横斜
行詠豈輸溫八叉  行ゆく詠じて 豈に温八叉に輸せんや
枕上佳人含笑指  枕上 佳人 笑いを含んで指す
鬢邊一片著梅花  鬢辺 一片 梅花を著くと

 
  
秀作

紅杏 安食敏子


   
 小雨晩歸       小雨晩歸
荒畦耕作荷鋤回  荒畦を耕作し 鋤を荷ひて回る
日募輕寒微雨催  日募の軽寒 微雨を催す
村舍中庭方濕處  村舎の中庭 方に湿ふ処
隣家新筍過牆來  隣家の新筍 牆を過ぎて来る

 
 
入選


禎心 濱村明弘


 
 看 梅         看 梅
衆庶尋梅來往頻  衆庶 梅を尋ねて 来往頻りなり
中寒苦恨閉関身  寒に中たりて 苦だ恨む 閉関の身
東君有遍開花意  東君 遍く花を開く意有りて
臥看空庭一朶春  臥して看る 空庭 一朶の春



第15回諸橋轍次博士記念漢詩大会
  

  
(一般の部)
優秀賞

観水 田沼裕樹

 
 故鄕冬日       故郷の冬日
上州風急裂高岡  上州の風は急にして高岡を裂き
數卷塵沙更欲狂  数しば塵沙を巻いて更に狂せんと欲す
紅頬兒童把絲處  紅頬の児童 糸を把る処
向天紙鷂直飛揚  天に向って 紙鷂 直ちに飛揚す

 

秀作

観水 田沼裕樹

   
 山 行         山 行
空林曲徑隔塵凡  空林 曲径 塵凡を隔つ
渇到懸泉水可銜  渇して懸泉に到れば 水銜むべし
仰望天邊高鳥過  仰いで天辺を望めば高鳥過ぎ
前山後嶺碧巖巖  前山 後嶺 碧巌巌

 

 (生誕記念の部)
秀作

観水 田沼裕樹

 
 庭月村懷古     庭月村懐古
紙鳶高望米峰翻  紙鳶 高く米峰を望んで翻り
竹馬傍看嵐水奔  竹馬 傍らに嵐水を看て奔る
緬想先生童稚日  緬想す 先生 童稚の日
無心嬉戲故鄕村  無心に嬉戯す 故郷の村



第8回漱石記念漢詩大会  

  
優秀賞


観水 田沼裕樹

 
 雨中訪友       雨中友を訪ぬ
殘花帶露雨如煙  残花露を帯びて雨煙の如く
村路野畦行潦連󠄀  村路 野畦 行潦連なる
仰望遠山雲已盡  仰いで遠山を望めば雲已に尽く
君家正在斷虹邊  君が家は正に断虹の辺に在り

 
 
佳作


観水 田沼裕樹

 
 機場迎󠄁友       機場にて友を迎う
萬里鵬程一夢中  万里の鵬程 一夢の中
曾看銀翼盡靑空  曽て看る 銀翼の青空に尽くるを
送人處是迎󠄁人處  人を送るの処は是れ人を迎うの処
喜爾鄕音昔日同  喜ぶ爾が郷音の昔日に同じきを

 
 
入選

蕗山 清水義孝
 

 
 倦  雪        雪に倦(う)む
連天豪雪壓蓬廬  連天の豪雪 蓬廬を圧す
人捨三餘孜欲除  人は三余を捨て孜(つと)めて除かんと欲す
夫有屋檐妻慄慄  夫は屋檐に有りて 妻は慄々たり
業終喫茗意安舒  業終えて茗を喫すれば意安舒たり

 
 
 入選


禎心 濱村明弘

 
 向那智大社      那智大社に向う
山行是苦汗生膚   山行は是れ苦にして汗膚に生ず
徐向神宮一徑迂   徐ろに神宮に向えば一径迂なり
欲索疎筇上巖磴   疎筇を索して巌磴を上らんと欲すれば
更苔滑澤滿前途   更に苔は滑沢として前途に満つ