2015春の吟行会  -鋸山から館山へー
                
                                         鷲野正明
 吟行会の楽しみは、参観場所を散策し歴史を学び、詩材を得て詩興をたかめることにあるが、詩材・詩興を得るのは参観場所に限ったことではない。そこへの往復の道をゆっくり歩くことで、参観場所以上に豊富な詩材とさまざまな感興が得られるのである。町並みはどうか、家の造りはどうか、庭の花はどうか、とキョロキョロ見ながら歩くのが楽しいのである。ごく普通の日常に眼を向けることが詩作には大事である。脇目もふらず、あるいは話に夢中になって参観場所へ行くだけでは、もったいない。
さて、今回の吟行会は平成27年4月30日から5月1日にわたって行われた。江戸時代の大沼枕山や梁川星巖の詩を研修会で取り上げていたので、是非とも行って見たいと思っていた所である。参加者は17名。全員で鋸山を散策し、昼食後、日帰りの6名と分かれ、11名は白浜で一泊した。初日の午前中は少し曇っていたが移動した館山では好天に恵まれ、山や古い町並みを歩くのも心地よく、電車やバスの時間待ちもない充実した吟行会だった。幹事の相沢無有氏、清水蕗山氏の周到な計画に感謝したい。
活動はおおよそ以下のようであった。
 4月30日(木)
 10:30 内房線浜金谷駅に集合 徒歩でロープウエイ乗り場へ
 11:20 鋸山頂上 記念写真を撮ったあと各自散策 
 12:45 鋸山大仏前広場集合 下山
 13:30 駅の近くの食堂で昼食 柏梁体連句に取り組む
     日帰り組は14:53の千葉行きで帰宅 宿泊組は
 14:25 内房線で館山
 16:50 バス 白浜野島灯台で下車し、厳島神社を参拝ののち灯台見学。朝日と夕陽の見える岬を散策 
 17:20 白浜町のライズリゾートホテル着 
 18:00 夕食 夜は有志で反省会

5月1日(金)
 07:30 朝食
 09:00 バス 館山へ
 09:50 城山公園 館山市立博物館見学 城の天守閣から館山湾と富士山を眺める 
 11:10 バスで館山駅へ 電車で那古船形駅
 11:30 那古船形駅着 徒歩で那古寺
 12:20 「明月庵」で昼食
 13:35 徒歩で大福寺へ 崖観音を見学予定だったが修復中で見られず 
 14:35 那古船形駅から千葉へ 千葉駅で解散

待ちに待った吟行会。遅刻してはなるまいと、4月30日(木)、津田沼駅8時26分発の館山行き電車に乗る。千葉駅での乗り換えがなく眠って行けるだろうという考えは甘く、乗り込んだ車輌は木更津駅で切り離され、後ろの車輌へ移動するはめに。15輛編成の前11輛が切り離され、うしろの4輛が館山へ向かったのであった。
9時47分、浜金谷駅着。相澤無有氏と冨樫貞華氏も同じ電車だった。集合時間までには間があるので、相澤氏等は昼食場所を探しに、我々は散策がてらフェリーの発着場へ。名物のアイスクリームを食す。
浜金谷の駅から徒歩10分ほどで鋸山ロープウエイ乗り場へ。ぎゅうぎゅう詰めのゴンドラで頂上へ。標高329メートル。全員で記念写真を撮ったあとは各自で自由散策。われわれは頂上の展望台で保田海岸等を写真に摂ったあと西口管理所まで下り、拝観料600円也をお布施してから「十州一覧台」へ。急峻な石段を登り浅間神社へたどり着くと風が涼しく心地よい。少し休憩したのち一気に下って、こんどは少し上って「百尺観音」を拝観。そして「地獄のぞき」の奇巌を下から眺める。少し戻って再び急峻な石段を登って「地獄のぞき」へ。「百尺観音」前の人々が小さく見える。山頂展望台で遠望したのち石段を下りながら石仏を拝観。千五百体あるという羅漢をすべては見きれないので集合場所の大仏前広場まで下り、日本一の大仏を拝観。藤の花やツツジが咲いていた。「呑海楼」へも行ってみたいと思っていたが、これは次回の楽しみにとっておくことに。全山を見尽くすには三日は必要か。
   鷲野正明の房総紀行               PHOTO(写真)