紅龍山東海寺(布施弁天) 
あけぼの山公園     
    

                令和3年11月9日
 
              吟行は作詩の源(みなもと)
                                   会長 鷲野正明

  

 コロナ禍の自粛で足腰が弱ったという話をよく聞きます。ヒトは動物ですから、動かないとダメなのですね。
令和三年度は、十一月九日(火)に柏の布施弁天東海寺とその周辺を吟行しました。もとは令和二年の秋に行う予定でしたがコロナ禍のために中止になり、また令和三年六月に予定したものの、緊急事態宣言発令のため再度中止、三度目にしてようやく開催できました。 

当日はあいにくの土砂降りで、国内の吟行会で雨に降られた初めての貴重な体験となりました。が「雨もまた奇なり」とは正に至言、雨は雨なりに幽玄な景色に詩心がかきたてられ、古人の詩に触れて古に思いを馳せ、たくさん詩を作りました。コロナ禍において何と贅沢な時間を過ごしたことでしょう。吟行は作詩の源です。

 
    翔堂 鷲野正明 吟行詩
 布施辯天東海寺          
最勝閣中祠釋尊 最勝閣中釈尊を祠り
正堂拜禮辯天存 正堂拝礼して弁天存す
觀音菩薩明王廟 観音 菩薩 明王の廟
各斎相傳雨露恩 各おの斉しく相伝ふ雨露の恩

 
  
 紅龍山覽古               
雨中幽見一堤長 雨中幽かに見る一堤の長きを
忽想晴天昔日鄕 忽ち想ふ 晴天 昔日の郷
刀禰大江山下迫 刀禰の大江山下に迫り
帆漾漾碧泱泱 白帆漾漾 碧泱泱


 
 
 東海寺見碑懷古   
紺苑文人闇夜眠 紺苑文人闇夜に眠り
醒來櫻樹競芳姸 醒め来れば桜樹芳を競って妍なり
龍山昔是臨刀水 竜山昔は是れ刀水に臨み
帆孕春風過眼前 帆は春風を孕んで眼前を過ぐ


 
  訪布施辯天     
雨籠一帶正幽姸 雨は一帯を籠めて正に幽妍
山上三層高塔鮮 山上三層高塔鮮やかなり
閉傘冒寒登正殿 傘を閉ぢ寒を冒して正殿に登れば
笑迎八臂辯才天 笑みて迎ふ 八臂弁才天


 
 
 曙山公園       
萬株櫻樹對龍山 万株の桜樹 龍山に対し
小蕾待春紅葉間 小蕾春を待つ紅葉の間
一鳥不飛寒愈薄 一鳥飛ばず寒愈いよ薄り
瀟瀟雨下滿園閑 瀟々として雨下って満園閑かなり


 
 布施弁天と あけぼの山公園  参加者の漢詩  柏梁體聯句  写 真